アーティストと共にライブを創造する鍼灸師#1【全2回】

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メガパン先生。数々のトップアーティストから絶大な信頼を得て、様々なライブの帯同から、プライベートの施術までを株式会社MEGAPANで行う。

今回は、その一見華やかに見える鍼灸師としての生業について、本音と本質を伺った。

鍼灸師として、その無限の可能性を伝える、メガパン先生ロングインタビュー。(第1回/全2回)


__本日はよろしくお願いいたします。

メガパン先生 よろしくお願いいたします。

__【THIS IS MEGAPAN】を出版されました。

こちらにも様々書いてあるのですが、改めて先生のご活動についてお話聞かせてください。

メガパン先生 バンドマンを中心に、アリーナや武道館でライブをするようなアーティストさんのツアー帯同や、国内外の大型ロックフェスティバルやイベントの楽屋エリアで、鍼灸師として出演者などの体のメンテナンスやケアを行う為のブースを運営し、施術しています。

ツアーについてくる鍼灸師と言いますか、アーティストのトレーナーという感じです。

__店舗もお持ちなのでしょうか?

メガパン先生 東京と大阪にあります。施術するのはアーティストさんとその関係者の方のみです。アーティストさんやクライアントさんのプライバシーを守るために、住所は非公開にしています。

店舗はスタッフへ基本的に任せて、私自身は、現場(ライブ会場)に行って、ケアをして、ステージに立ってもらう。それで終わった後に、アフターケアをする。という形をとっています。

中には、レコーディングやテレビの生放送直前のケアもありますが、メインは、歌う人や演奏する人に特化した施術やメンテナンスを提供させてもらっています。

__最近のセラピスト業界でも、いろんな働き方があってもいいのではという考え方がテーマになっていることが多く、メガパン先生のような働き方を羨ましいと感じる方も多いと思います。

また、逆に難しい一面も多くあると思いますが、すごく理想的な働き方かと思います。

メガパン先生 治療院を持っていると患者様を待っている側になるかと思いますが、僕はどちらかというと足を運ぶ側で、患者さんに受け手になってもらうような感覚です。そのスタンスはずっと取り続けています。(出典元;TOWER RECORDS(タワーレコード) 郡山店HPより抜粋 https://www.gurutto-koriyama.com/detail/695/news/news-80141.html )

__そもそもの話になりますが、鍼灸師を目指したキッカケを聞かせてください。

メガパン先生 元々、音楽業界のスタッフを目指していました。それで、アーティストのオフショットやドキュメンタリー動画などで、彼らが体を痛めてる姿を見て、こういう時に何か力になれたらいいなと思いました。

そんな時、イチロー選手がメジャーに行く時に、トレーナーさんを連れて行った話を知って、それなら、音楽業界でそういった人っているのかなと思って調べてみると、あまりいないと。じゃあ自分でやったら面白いんじゃないかと思いました。

体内に鍼を入れて、より深い層に直接アプローチできる。目指すべきは、鍼灸師だと思った。

__それで鍼灸師になられたのですね。

メガパン先生 体のメンテナンスをするとなった時に、いろんなセラピストの資格がありますが、

鍼灸は、体内に鍼をいれて、より深い層にまで直接アプローチできると。大型の機材も必要ない。そこに魅力を感じて、自分の目指すとこは鍼灸師だなと思いました。

そこから、鍼灸師としてアーティストに帯同するトレーナーを目指そうとやってきました。

__その時に目指したことが、現実となって、今もずっと続いているという感じですね。

メガパン先生 はい、僕は無いものなら作ればいいという発想なので、高校生の時にこれをやったら面白いかも、誰もやってないかもしれないということを続けてきたら、結果的に今になりました。

__なかなか思っても、実現までできる方はそう多くはないと思います。

メガパン先生 25歳の時点ではこうなっていたいと、15,6歳の時に思っていたので、逆算してやってきました。

目標を設定して、それがブレなければ叶うんだなとは感じています。

途中、スポーツ関係に進むとか、院長として勤めるとか、専門学校の講師とか、道も様々ありましたが、自分がやりたいことはこれと決めていました。

お金や安定を考える時はありますが、自分のやりたいことでお金も安定も手に入れればいいので、そのために安定とお金は別で稼ぐことをすれば、やりたいことは続けられるという考え方です。

いろんなハードルがあった。でも目標はブレなかった。

__島根県ご出身とのことで、専門学校に進む時にもいろんなハードルがあったと伺いました。

メガパン先生 今でこそ鍼灸も柔整も学校は増えましたが、僕の時は理学療法学科が増えている時期で、進路の先生たちからはそっちに行きなさいと言われました。

でも僕の中では病院の中で働くのではなくて、現場で、自分の判断で、道具も最小限の状態で施術をする、ということがしたかったので、

その進路は違うと先生に伝えたんですが、学校の先生からしたら大学に行かせたいというところもあって、更に鍼灸師の認知も地方ではまだ低かったので、反対はとても多かったです。今では認知も広がって良かったです。

__かなり厳しい状況だったかと思います。それでもブレなかったのですね。

メガパン先生 アーティストのツアーについて回る鍼灸師になるんだと高校生の時に決めてからは、専門学生の時も、鍼灸師として勤めているときもブレなかったです。これから先もブレないと思います。

__ここまで明確にブレずにこれたのは、先程もおっしゃっていましたが、やりたい事とお金を稼ぐことのメリハリがしっかりあるからなのかなと感じます。

メガパン先生 何かを目指す過程においては、これだとお金は稼げないという状況もあると思います。それを1つとして考えるというよりは、切り分けて発想する方がいいと思っています。

やりたい事をするとお金がついてこない、なら稼ぐための仕事や作業だったりは別でやりつつ、いつかやりたい事に近づいていけるという考え方です。確かに実行するのは難しいです。

稼ぐための仕事は、あえて音楽と鍼灸と切り離した。

__オフショットでチラッと伺いましたが、やりたい事をするために、稼ぐための仕事として、いろんな仕事をされてきたと伺いました。

メガパン先生 鍼灸師としての学びとして、受付や研修は給料が少なくても、お金をもらいながら学べると考えて経験してきました。

でも、それだけでは難しい時に、副業をしないといけないと。

それで何をしようかと思った時に、音楽と鍼灸は自分がずっとこの先やっていく事なので、それと関係ない違うジャンルで稼げたら、人生経験も積めるし、知り合いも増えるし、話のネタも増えるなと思って、飲食や接客、交通関係などを経験しました。結果的には、そのおかげで視野を狭めないでやって来れました。

毎回フルオーダーメイドの治療を作り上げる。

__少し専門的な事になりますが、アーティストの方々を専門に施術されている事はとても特別だと思います。その中で、こんな施術が多いや、こんな症状があるなど、施術について聞かせてください。

メガパン先生 野球だったら、投手と野手で違うように、アーティストという括りでも、パートによって違います。ボーカルなら喉だったり、ギターの方は手の指の動きだったり、肩、ドラムの方は腰などです。特にドラムの方は、体幹は止まっているけど、手足は動き続けてるような、「動」と「静」が共存しているので、負荷がかかっていることが多いです。さらに演奏スタイルや使っている機材、演奏方法によっても違います。完全フルオーダーメイドの施術を毎回作り上げているような感覚です。

__確かにパートによって違いますよね。

メガパン先生 ボーカルの方に特に多いのは、「声の調律」です。最近はPA(音響)さんと一緒に調整します。その人によって歌い方のクセが違うのと、正しい歌い方の時と調子の悪い時の歌い方が違うので、ニュートラルを知った上で施術をしなければいけません。

細かく見ながらオーダーメイド施術をしていきます。リハーサルは絶対チェックしますし、音源も聴いて、ニュートラルを知った上で、一番良い時の状態を僕の中で作り上げて、それに近づけていきます。

__その方と本当に向かい合って、施術していくのですね。

メガパン先生 あらゆる引き出しを全部引き出して、その時にその人にとって最善で、その人が納得する治療をしなければいけません。治療家がやりたい事と、相手が望んでいる事を一致させていく必要があります。

しかも共通言語を使っていないので、アーティストからは、「なんか」喉の調子が「なんか」ガサついてて、とか、その「なんか」という言葉を、どれだけ変換して、施術という技術で答えられるかだと思います。ですので、コミュニケーションもしっかりとるべきですし、いい意味で、ミーハーではなくファンでいることも大事です。

__体の状態はもちろんですが、アーティストには、他にもさまざまな負担があるように感じます。

メガパン先生 メンタルも重要です。アーティストには、試合のように敵チームがいるわけではないので、どれだけ良い状態でファンの人の前に送り出せるかが僕らの役目で、アフターケアとして、何がどう変わったかを診ることも必要です。

__ここまで伺ってみて、メガパン先生がアーティストとともに活動する事を本業とされているのは、そのアーティストとのすり合わせが評価されているからですよね。

メガパン先生 そうですね、毎回成功してるわけではないですが、6対4ぐらいでうまくいってきてるから続けられてるのかなとは思います。100点は目指したいですが、結果的に良かったねというのを多く作りたいと思っています。

ダメだった時は、言ってもらうようにもしています。必ず改善案を話し合います。

__必ずフィードバックを求めるのですね。

メガパン先生 「今日良かった」「ありがとう」と言われても、「何か気になるところはありますか?」と言って、必ず引き出します。それでそれがどんな状態か見るためにアフターケアをして、その原因に対して仮説を立てて、次の日のライブで仮説に対してアプローチします。

何もない事は絶対ありません。客観的にはわからないことも、主観的に出してもらいますし、その逆もそうです。それは一般での一人一人の施術でも同じことだと思います。

(次回に続く、次回は1月末更新予定)

取材:キロマツ


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THIS IS MEGAPAN 〜アーティスト共にライブを創造する鍼灸師〜

URL https://megapan.thebase.in/items/38098153


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