柔道整復師 宮下蔵人 #タキビビトインタビュー

1
松本佑一郎

東京都内で年間100件もの外傷に対応する”みやした接骨院”宮下先生。駅前とはいえ、2階の店舗、口コミと紹介のみで、集客テクニックは一切なし。

そこには柔道整復師という職業に、誇りと責任を持った熱く冷静な男の姿があった。

そんな宮下先生にこれまでのご経験と、今後の展望を伺った。


__本日は東京都内で”外傷”をしっかり受け入れている院ということで、お話を伺いに来ました。宮下先生、それではよろしくお願いいたします。

宮下先生 よろしくお願いします。

__宮下先生は、柔道整復師となって14年ほどとのことで、もともと新潟ご出身で、学生になるときに東京に来られたとの事ですが、

そもそも柔道整復師を目指したキッカケはなんですか?

宮下先生 もともと高校までは陸上をやっていて怪我が多かったこともあって、接骨院には治療で関わっていました。あと、父親が整体をやっていたので、そういう部分で興味がありました。陸上選手としては、ここまでかなと限界を感じる中で、サポートとして関わるのもありだなと思ったあたりから、具体的になっていきました。

__帝京平成大学を卒業されて、横浜の方でご修業されたと伺いました。

宮下先生 はい、独立までに約6年ぐらい修行してました。

__その当時はどういった施術がメインとなっていたのでしょうか?

宮下先生 外傷ももちろんですが、自費の施術も多くやっていました。当時は、亜急性という言葉があったものですから、すごく難しい部分ではありますけど、患者様のためになること、自分たちにできることは何か、と考えながらやっていました。とても厳しかったです。

__どのように厳しかったのでしょうか?

宮下先生 朝は7時に開院していました。夜は21時まで受付だったので、終わりは22時半とか23時近くまでやっていました。今じゃちょっとアレですが、ほぼほぼ住み込みのような形でした。祝日以外は休みも無かった事もありますし、24時間やったこともあります。(笑)

__今活躍している先生たちで共通しているのは、そういった極限まで追い込んだ経験があるところのように思います。

宮下先生 僕はそういった経験が大事だと思う反面、そういうことをやってきてしまった業界だからこそ、業界全体として悪くなってしまった部分もあると思っています。まず時間が長いというのはあまりよくないと思っていて、限られた時間の中で、できることをしっかりやった上で、なおかつ教えるとか伝える事をする必要があると思っています。

__それは素晴らしいですね。当時のご経験は大変だったかと思いますが、そういった経験も、自分で学びにいく、吸収しにいく姿勢があったから今があるのではないかと思います。

宮下先生 そうですね、仕事は自分で取りにいっていましたし、1日でも早く成長したいと思っていました。成長しないと患者様に失礼なんですよね。

__開業されてから、急性の外傷についてますます深く取り組まれたとの事ですが、それはどういった部分からなのですか?

宮下先生 まず急性の外傷がみれないと、体の組織がどのように変わっていくかを知り得ないという事になってくると思います。もちろん慢性の治癒過程というのもありますが、外傷を見れるからこそわかってくる部分が多くありますし、それがあるからこそ、本当の意味での慢性的な症状についても理解が出来てくるのではないかと思います。

__なるほどです。技術知識の部分ですね。

宮下先生 あとは単純に、そういった症状の患者様と出会えたという事に尽きます。僕たちは目の前の患者様をどうよくするかしかないと思っているので、その部分がやはり大きいです。

僕たちの存在意義や価値って、外傷にあると思っているので、そこを出来ないっていうのは柔道整復師としても接骨院としても良くはないと思いますし、出来る出来ないは別として、一度は学ぼうよとは思います。その上で、やるやらないを判断するのはいいと思います。

そういった部分を通して、治療家といったら烏滸がましいかもしれませんが、鍼灸あんまも含めてセラピストとして、患者様の選択肢の一つになれるように努力していかなければいけない業界だと思っています。

「わかる」と「わかった」も違うし、「わかった」と「できる」も違う。「できる」と「できた」も違う。自分なりに常にアップデートが必要。

__今も外傷で有名な先生方の勉強会にいかれてると伺いました。

宮下先生 はい、行きだしてからは毎年行っているので、もう5年は通っています。毎年行っていても、原理原則は変わらないと思いますが、新たにわかっていく事っていうのがあって、少しでも良くなる方法っていうのを常に追求していきたいと思っています。

勉強会では、先輩たちが作ってきた技術をどう分解して、どういう意味があるのか、というのを科学的な根拠をもとに線引きしていて、毎回本当に学びになります。

__やはりそういった学びによって、先生自身もアップデートされていて、自信にもなっていってるのでしょうか。

宮下先生 そうですね、ただ教えてもらうだけじゃダメで、インプットしているつもりだけど入ってなくて。アウトプットして初めてインプットになって。

「わかる」と「わかった」も違うし、「わかった」と「できる」も違うし、「できる」と「できた」も違います。その辺りは、自分なりに常にアップデートできるようにはしていたいです。

__そもそも今回は、都内で外傷をしっかり受け入れているという事でお話伺いたいと思ったのですが、今柔整3名ですよね、外傷の件数で言うとどれぐらいなのでしょうか?

宮下先生 大体ならすと、骨折脱臼で年間100件ほどです。

__なかなか都内では外傷は来ないという声が多いです。でも実際、宮下先生のような場所があると。何か工夫されていることはあるのですか?

宮下先生 集客は一切していないです、やっているのはHPくらいで、口コミと紹介です。

開業した当初は、駅前だし飛び込み狙いだったのですが、一人も来なくて(笑)ちょっとずつ認知してもらって、紹介いただいて、と言うような感じです。

__確かに駅前ですが、ビルの2階で階段ですよね。それでこの成果は本当に素晴らしいと思います。

宮下先生 それは、僕がどうこうというよりは、周りの先生方に本当に助けられたという所です。たくさんの先生方に相談したり、勉強に出させてもらったりして、そこで学んだ事を少しずつ患者様に提供し続けてこれたので、だんだん広がっていってくれたのかなとは思います。

正しい知識、技術を伝え、それが人の役に立つと認識できる。それは伝統医療として、文化として大事なこと。

__今後の業界に対するビジョンについて聞かせてください。

宮下先生 そうですね、業界自体が少しでも明るくなっていかないといけないと思っています。

僕らが修行してた頃とか、学生の時に、ああなりたいなと憧れたセラピストに僕らは今なれていないなと思っていて、それをなれるようにしていかなくてはいけないと。そういう雰囲気を作れる環境を周りの仲間たちと作れればいいなと思います。セラピストキャンプさんもそういう存在だと思っているので、素晴らしいなと思っています。

__ありがとうございます。これからの世代の子達に、そういう環境を作っていきたいですよね。

宮下先生 親がお金を出してくれて、専門学校に入学して、そこには目指そうと思ったキッカケがあると思うんですよね。それで一生懸命学んだけど、自分が思っていた職場と違ったところに入って、ちゃんとしたことが伝わらないまま、違ったなと思って辞めるというのは、残念ですよね。

正しい知識、技術を伝えて、それが世の中の、人の役に立つことだと認識があることっていうのは、伝統医療として、文化として大事なことだと思っているので、この業界にはそれが広がっていく可能性は僕はあると思うので、それの環境づくりとか、僕ができることは、していきたいなと思っています。


みやした接骨院

HP :https://xn--68jq8gua1656dyv5c1ig.com/


(終わり/記事:キロマツ)


こちらをシェアをしてみませんか?