アーティストと共にライブを創造する鍼灸師#2【全2回】

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(第2回/全2回)

メガパン先生。数々のトップアーティストから絶大な信頼を得て、様々なライブの帯同から、プライベートの施術までを株式会社MEGAPANで行う。

今回は、その一見華やかに見える鍼灸師としての生業について、本音と本質を伺った。

鍼灸師として、その無限の可能性を伝える、メガパン先生ロングインタビュー。

前編はこちらからご覧いただけます。

アーティストと共にライブを創造する鍼灸師#1【全2回】

https://therapistcamp.com/sukumane/page/detail/79


__それでは引き続きよろしくお願いいたします。

メガパン先生 よろしくお願いします。

__アーティストに帯同して施術をすると聞くと、パッと華やかな印象を受けます。今回は、だからこそ厳しい一面や難しい事について聞かせてください。

メガパン先生 僕の場合は、当時から施術していたアーティストさん達が結果的に有名になったという感じです。

僕は元々インディーズのアーティストさんを施術していて、その方達がメジャーデビューして、武道館やアリーナでやるようになっていきました。

やはり本当にこの人たちと一緒に有名になろうという気持ちがないと難しいです。アーティストさん達も、自分たちの名前を使おうとしてるなとかはわかるんです。

前編でも言った通り、ミーハーじゃなくファンでいる事が必要で、金儲けでやるのもダメです。

特にバンドでは、スタッフも含めて「チーム」と思っている方が多いので、アーティストさんを踏み台にしようとしている人は凄く目立ちます。

__アーティストさんは、チームでやる事を大切にされているんですね。

メガパン先生 チームとして、メンバーさんのためにメンバーさんが求めている事をやる。これを支えているのが各セクションです。

アーティストさんは、お客さんが喜ぶ事をやるために、僕たちに指示を出しています。「需要」と「供給」を間違えてはいけないと思います。

技術で最大限、配慮で最大限

__そのセクションにそれぞれプロフェッショナルがいるわけですね。

メガパン先生 はい、もちろん技術力もないといけません。アーティストさんには特に繊細な技術力を求められます。技術力も最大限発揮しながら、配慮も最大限必要になってきます。

そこに、社会人としてのルールも必要です。

柔道整復師や鍼灸師として、「先生」と呼ばれているその立場を捨てていけるかが大切です。技術は必要だけど、チームにおいては、その技術に先生という立場は必要ないです。それを捨てることが出来るかどうかが、先ほどの需要と供給のような部分で大事になってきます。ここが一番厳しい部分かもしれません。

__そこの意識はなかなか出来るようで難しい部分ですよね。

メガパン先生 そこの切り替えができないと、店舗には来てくれるけどツアースタッフとしては難しくなったり、例えアーティストさんが求めたとしても、マネージメントさんから厳しいと判断される事もあります。今回の『THIS IS MEGAPAN』でも僕とアーティストさんという需要と供給の関係を成り立たせてくれているマネージメントさんとも対談させて頂いているのですが、やはりどういう人が求められているかという事がわかります。

大先生と呼ばれるほどの技術も持ちながら、大先生という名前を捨てるような感じです。

__有名なアーティストさんを施術しているとやはり言いたくなりますよね。

メガパン先生 自分から肩書きを言うのも良くないです。どんな有名な人を施術しているとか、自分を大きく見せるような行為は必要ないです。

音楽の現場は争いをする場ではないので、全員がハッピーになるためのチームです。

__アーティストさんを施術する中で、情報の扱い方にも大変厳しい部分があると伺いました。

メガパン先生 まだ発表になってないツアーの話とか、アーティストさんのプライベートな事などに触れる事になります。そういう場面でも「いかにメンバーさんの私生活を守るか」も僕たちの役目です。

情報の漏洩は信用問題ですし、鍼灸師やセラピストがこれまで築いてきた守秘義務を確固たるものとして守れるかという事も大事です。自分の家族と思って考えれば当たり前のことなのですが、やはりミーハーな気持ちで自慢したいと思うと喋ってしまったりします。そういう気持ちを捨てれるかどうかです。

__たくさんの厳しいお話を伺いましたが、今セラピストの働き方が注目されている中で、やはりメガパン先生と同じような活動をしたいと思うセラピストも増えるかと思います。そのあたりについてはいかがでしょうか?

メガパン先生 エンタメ・芸能関係の人からも、色んな所から業界に関わりたいとの声があるけれども、ある程度のルールを守って欲しいという所と、技術力も最低限保証して欲しいという所で、メガパンの方で関所のような感じでやれないか、とはお話いただきます。

僕としても、何を学ばないといけないのか、どういう技術も持っていなければいけないのかという所を、目指したい人に対して教えた上で現場に送り込む教育のような事も考えていかなければいけないとは思っています。

正社員というよりは、プラットフォームを作って、共通言語を話せる人を増やす事で、より広がっていくのかなと思います。

__エンタメ業界側からはそう言った声があるのですね。

メガパン先生 エンタメ業界からは求めている声が強いので、セラピストの業界からそういう声があれば、高校生の時の自分のように、どの道に進めばこういう活動ができるのか伝えられるかなとは思います。

__メガパン先生のもとにも、前編でもお話頂いたやりたい事と稼ぐための仕事という風に、実践されている方がいらっしゃると伺いました。

メガパン先生 ドラッグストアで働きながらツアー帯同などをやってる方がいます。それはドラッグストアが、シフトを調整しやすいという所としっかりお金を稼げるという部分で、でもツアーに帯同する為には技術も磨かなければいけないので、週に何日か鍼灸院でアルバイトしたり、うちで研修を受けたりしています。

学校を卒業したばかりで技術はまだまだなので、僕の所で教わりながら、お金も稼がなきゃいけないので、実家の家業も手伝っている子もいます。

やりたい事をやるための「複業」

__副業しながらやりたい事を目指しているのですね。

メガパン先生 やりたい事とお金を稼ぐ事で、どっちが「本業」で「副業」かって言われますけど、僕のイメージは「複業」です。今後はやりたい事をやる為にも、この形の「複業」が増えていくのがいいのかなと思っています。

__「複業」はまさに本質を捉えているような気がします。

メガパン先生 その方が、その人の持っている武器の数や守備範囲が増えると思います。こういう時代だからこそ良いと思います。

うちの東京の院の責任者はもともとそういう形で働いていて、東京の院を出す時に複業の2つをやめて、今はやりたい事だったアーティスト関係の仕事を院の責任者としてやっています。

視野は広く、先入観は捨てる

__様々なご経験をされてきて、今先生がセラピストに伝えたいことはありますか?

メガパン先生 セラピストの方に共通で伝えたいのは、視野を広く先入観を捨てる事です。視野を狭くすると先入観になりますし、先入観を持ってると視野は狭くなります。

先ほども話しましたが、セラピストとして自分は「先生」だと思うよりも、自分もいち「人」で、自分の周りの困っている人がいたら「自分は技術を持ってる人」なんだなという感覚でセラピストとしていて欲しいなと思います。資格という先入観に囚われるのではなく、鍼灸師、柔道整復師、理学療法士などそれぞれの得意分野を考えるのが良いかなと思います。

__人としての謙虚さのような所でしょうか。

メガパン先生 僕もこうやって話していても出来ていない事もあります。でもだからこそ口に出して気をつけようと思いますし、その意識を持ち続ける事が大切だなと思います。

セラピストの業界でもそういう価値観を持った人が増えていけば、新しいセラピストの道やクライアントさんとの付き合い方が出来てくるんじゃないかと思います。

__最後に、『THIS IS MEGAPAN』は是非チェックして頂きたいですね。

メガパン先生 施術をしてる側がどういうマインドでやってるか、施術を受けてる側が受けて実際どうだったか、何を求めているかがわかるかと思いますので、是非読んで頂きたいです。

(終わり)記事:キロマツ


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